毎日が幸せ食堂 ~シェフにナイショでブログ始めました~

カテゴリ:キッシュ&タルト SEKI( 7 )

Sさんのお店開店しました!

とうとう、「60の手習い」からスタートし、「キッシュをもっと世に広めたい」と
いう夢のもとに、周囲の反対を押し切ってカフェ作りを始めたSさんのお店、
キッシュ&タルト seki 」が昨日開店しました。

お店自体はすでに出来上がっていて、開店も先月を予定したのですが、やはり
ランチの内容やオペレーションについて不安を残したままお店をオープンしたくは
ない、というSさんの強い意志もアリ、ほぼ一カ月遅れの開店となりました。

中心になるスタッフは、もともとプリムールのパートさんたち。強力な
助っ人に支えられての、ようやくのスタートでした。

とはいえ、やはり実際やってみると様々な問題が浮上してきたようでした。

今日はプリムールはお休みでしたので、シェフは、朝早くからSさんのヘルプに
飯田橋まで出かけていきました。

「ここまできたら、乗りかかった船だからさ。」

と、笑いながら。(いや、ちょっと意味が違うような気もしますが、シェフ。)



昨日は、開店初日ということもあって、大勢のお客様に来ていただいた
そうですが、今日も、大盛況だったそうです。


ありがたいことでしたが、その分、改善点や問題点が、いくつもいくつも出てきたそうです。


お金を頂戴している立場ですから、どんな経緯や背景があろうとも、すでに
Sさんも「プロ」として見なされます。


お客様の期待に応えるために、こういった問題や、改善点に、これから一つ一つ
対処する必要があるでしょう。


お店は、開くのは意外に簡単でも、続けることが何より難しいです。

少なくとも、立地には恵まれているSさんのお店ですから(正直、ウラヤマシイ・・)、
あとはSさんの頑張り次第ですね。



昨日、今日、「キッシュ&タルト seki 」に来て下さったお客様へ。

それから、今後、「キッシュ&タルト seki」に行こうかな、と思っているお客様へ。



ありがとうございます。(と、私が言う筋合いのことではないのですが・・・。)
お味やサービスはいかがだったでしょうか。


キッシュ&タルト seki は、まだまだ、生まれたての子馬のような状態のお店です。

ただ、Sさん始め、スタッフ全員が、「よりよりお店」を目指して日々奮闘して
おります。何かお気づきのことがあれば、忌憚なく、スタッフにお声を掛けて
ください。厳しいお言葉も、お店の側としては、それは宝です。


みなさまの、厳しくも温かい目が、お店を子馬から立派な競走馬に育ててくれると
信じています。


私のお店レ・プリムールも、そうやって地域の皆さまの、本当に温かい心に支えられて、ようやく
ここまで来ることができましたと自負しております。

ひょんなことからご縁ができた「キッシュ&タルト seki 」も、同じように
地域の皆さまに支えられた店になるといいな、と思わずにいられません。

ですので、どうぞ、今後とも、よろしくお願い致します。(と、私が言う筋合いのことでは
ないのですが・・・。)




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、私たちも、Sさんに負けないように、そして初心を忘れないように、
また明日から元気にプリムールをやって行きましょう!
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by manmarunesan | 2011-05-11 18:47 | キッシュ&タルト SEKI

Sさんあと一歩のところ

皆さん、長いお休み、いかがお過ごしでしょうか?

プリムールも、ゴールデンウィークの真っただ中でしたが、
通常通り定休日をいただきました。昨日ご連絡下さったお客様、
ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした・・。

さて、昨日のお休みを利用して、シェフとまんまるは、Sさんの
開店準備の様子を見に行きました。

実はこの日、予行演習を兼ねて、スタッフのご家族が仮のお客さんになって
「模擬開店」を行っていたのでした。

(初めてこのブログをお読みの方、Sさんのカテゴリを新たに作りました!
右のカテゴリ→の「キッシュ&タルト SEKI」のところをご覧ください。)


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外側はすっかり出来上がっていました。小さなテラスもおしゃれです。

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近日オープン、楽しみですね。通りがかったご近所の方々が
よく覗いていかれるそうです。地元でも期待値上昇中、というところ
でしょうか。

カララーン♪ カワイイ鐘の音とともに、「いらっしゃいませー」の元気な声。

入ってすぐに、ショーケースが目に入ります。

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キッシュとタルトが、美味しそうです。タルト以外にもデザートが
並ぶそうです。ウヒー、これも楽しみですね。



この日は、パートさんたちのオペレーション練習も兼ねていたので、
まんまるはお客さん。さっそく、キッシュプレートを注文。


きのこのキッシュ

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ホウレンソウのキッシュ

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どちらも、プリムールの味を再現してました。フワフワで、サクサク。
味も、盛りつけも、良いじゃないですか~。


とにかく、なにもかもSさんにとっては初めてのことですから、
一つのことを始めると、いくつもの問題点や改善点が出てくるそうです。
それを一つ一つ解決するために、スタッフの方たちの強力なサポートのもと、
一つ一つ話し合って、一歩一歩進んでいる、そんな印象を受けました。

最初が肝心、ですからね。まんまるも、プリムールを始めたばかりのころを
思い出しました。

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「キッシュ&タルト SEKI 」の開店をお待ちいただいている皆さん、
もうしばらく、お待ちくださいましねー。

Sさん、あと一歩、です!
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by manmarunesan | 2011-05-05 09:59 | キッシュ&タルト SEKI

引き続きSさんのこと

Sさんを支えるプリムールの元パートさんたちから、緊急メールが
飛び込んできました。

Sさん自身が自分が満足行くまでのキッシュに到達していないので、
開店を延ばしてもう少しキッシュのレベルをアップさせたい、との
こと。

最初が肝心ですからね、悪いことではないと思います。

ハード面が整って、一緒に働いてくれる人たちのサポートも十分
整っている中で、普通なら一日でも早く開店したいというのが
人の情ってものですが、でも焦らず、納得できた時点で開店、
という選択は勇気がいるものですけれど。


もともとが料理畑の人ではないだけに、自身の作品を安定して出す
ためには、きっともっともっと練習しないといけないんだと、
Sさん自身が実感していることなのでしょう。

開店は、GW明けになりそうです。

ちなみに、先日Sさんのお店訪問した際には、前を通る人たちが
本当に興味深そうに覗いて行くのが見えました。期待値はかなり
高そうです!

どうぞ、Sさん、焦らずに、シェフの味を常に体現できるよう、
がんばってくださいね~。

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ちなみに、プリムールのキッシュは、ランチでも食べられますので
どうぞ気になる方は御注文くださいましー。
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by manmarunesan | 2011-04-23 09:00 | キッシュ&タルト SEKI

Sさん奮闘中

皆さま、覚えておいでですか?

会社を定年退職後、「もっと広くキッシュを食べてもらいたい」という
一念で自分のカフェを開こうと、プリムールに一時期修行に来ていたSさん
のお店が来週いよいよ開店します。

その名も、キッシュ&タルト Seki

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はい、Sさんとは「SEKIさん」のことです。

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お店の外装も内装もほとんど終了し、あとは料理や飲み物についての
段取りや仕込みを残すところとなりました。

ランチタイムに、キッシュの他に何か出すのか、など、まだ模索中で、
いったいどうなる事やら、まだ分かりませんが、昨日はシェフが、今日は
まんまるが、お店の様子を観に行ってきました。

今朝は朝一番でSさんがプリムールに来て、シェフに最後の指導を受けて
いました。イチゴのタルトと、リンゴのタルトは、生地もサクサクで、
美味しかったですよ。

飲み物は、紅茶をメインにするそうで、昨日は紅茶の先生に来ていただいて
スタッフの人たちを指導してもらったとか。

楽しみですね。


お店の端には、キッシュに続く、Sさんのもう一つのコダワリであるところの、
オーディオのセットが鎮座ましましていましたよ☆

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お店のオープンは、このまま大きなトラブルさえなければ、4月26日(火)を
予定しています。

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オープンしてすぐは、きっとまだオペレーションもお料理もなかなか思ったように
運ばないかもしれませんが、もう少し落ち着いたら、ぜひ、お近くにお立ちよりの
際にはぜひぜひ、皆さまも覗いてSさんを励ましていただけませんか?

場所は、飯田橋駅の、水道橋寄りの出口から徒歩10分くらいのオフィス街です。

オープンしましたら、また改めてお知らせいたしますね~。
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by manmarunesan | 2011-04-21 19:27 | キッシュ&タルト SEKI

Sさん始動

暗いニュースが次々と届いて気が休まることがありませんが、
皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

憂鬱な気持ちで日々過ごしているまんまるのところに、
Sさんから連絡がありました。Sさんの夢が、現実となって
動き始めたそうです。

早速、Sさんのお店造りの様子を見学に行きました。


飯田橋駅から徒歩7分くらいの、出版社や印刷所が多いビジネス街に
Sさんの新しいお店は作られているところでした。

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まだ前のお店(フレンチでした)の内装を取り壊した残骸が、
お店の前に積もれていて、新しいお店造りは始まったばかりの
ようでしたが、

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中を覗くと、内装は着々と進んでいました。壁面と、仕切りは
大体出来上がっていました。

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こちらはカウンター。カウンターの上には大きなガラスを入れて、
Sさんが常にお客様を見ることができるようにするそうです。



お店の名前も、スタッフの人たちやデザイナーさん、そしてなぜか
まんまるも交えて侃侃諤諤、話し合いましたよー。そのうち、
皆さんにもお披露目しますね~。



お店の外で電話をしていると、通りがかった地元のマダムたちが、
「何のお店なの?」と聞いてくることがしばしばありました。

「キッシュとタルトのお店なんですよ~」

と、まんまるが答えると、


「あら、じゃあ、楽しみね。キッシュ好きな人がいるから、今度
食べに来るわ~」

と、言って下さいました。そしてさらに、


「キッシュには、みんな煩いからね、頑張ってね☆」

と、励まされたりしたり。Sさんは、良い場所を選んだようです。


その話をSさんに伝えると、

「僕もね、今色々、キッシュで有名なお店を回っているんですけど、
でも、
やっぱりこれまで一番美味しいと思ったキッシュは、プリムールのキッシュなんですよね
お店の工事が落ち着いたら、
開店の日まで、また、復習させてください!」

とのことでした。


ガンバレ、Sさん。
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by manmarunesan | 2011-03-25 10:04 | キッシュ&タルト SEKI

再び、Sさんのこと

sさんのことを皆さん覚えていらっしゃいますか?

そう、会社を定年退職された後、第二の人生として「自分のカフェを開く」を
目標に料理学校に通い、また同時にプリムールにも修行にいらしたおじ様です。

この不景気にカフェなど開いても儲かる保障はない、ということで、周囲の人たちは
大反対なのですが、「これは私の夢であり、自分の人生の証なのです」と頑として
ご自身の夢を捨てずに日々、頑張っています。

プリムールの修行を卒業された後、料理学校仲間がSさんより一足早く
カフェを開店することになったそうで、Sさんもご自身のカフェを開くときの
参考になるから、と、言うことで、そのカフェの開店準備のお手伝いを
していました。

先日、そのSさんに偶然高円寺の商店街でばったりお会いしました。
どうやら、昨年12月に無事、お友だちのカフェは開店したそうです。

「いやー、学校で習うことと、自分でやってみるのとでは大違いですねー。」

sさんはいつものような人懐こい笑顔を見せて、そう言いました。
お友だちのお店はどうやら開店したものの、Sさんとその友だちの"おじさんコンビ"で
てんやわんやの大騒ぎなんだそうです。

「実はね、この前も運んでいるコーヒーをお客様の前でこぼしてしまったんです。
幸い、お客様にはかからなかったんですけどね。ちょっと手元の注意を怠ったら、
あっという間にこぼれてしまったんですよ。」

と、頭をかくSさん。

ああ、まんまるも、プリムール開店当初、同じような失敗をしましたよ。
まんまるの場合は最悪なことに、お客様のバッグにパスタのスープをこぼして
しまいました。

ひたすら謝るしかないんですよね、そういう時は。当たり前ですが、お客様は
最後までお怒りになっていました。逆だったらまんまるもプンプンしていたでしょう。
それからしばらく、まんまるはお店に出るのが本当に厭でした。厭、というよりも、
怖かったです。


でも、Sさんは言いました。

「これも、勉強ですね。」


なんて、ポジティブなsさん。続けて、言いました。


「こうやって、友だちのお店を手伝うこと自体、本当にいい勉強になるんですよね。
ただ、足を引っ張らないように、気をつけないといけないですけど。」


自分たちが想像した以上のトラブルが発生したり、自分たちの未熟さで
お客様にご迷惑をかけたり、何よりも、思ったよりも儲からなかったり。

お店を立ち上げてしばらくすると、「現実と理想のギャップ」に悩む日々が
始まるのはあたりまえだと思います。Sさんも、お手伝いとはいえ、自分の
仲間が直面する色々な困難を共有しているはずなのですが、彼の夢への
情熱は衰えることがないようです。


「まだ、自分のお店は店舗も見つかってない状態ですけど、でも、実際
お店を開くことになったら、またシェフにも色々聞きに行くと思いますので、
そのときはよろしくお願いします!」


そういって、意気揚々と、Sさんは商店街の人ごみに消えていきました。




後日、シェフと、Sさんが働くお友達のカフェに行ってみました。

お店の前で「ここかな?」なんてシェフと言ってると、ニコニコ顔のSさんが
自らドアを開けてお出迎え。

「いらっしゃいませー。わざわざ、ありがとうございます!!」

店内は、80年代アメリカのカントリー調で統一されていました。お友だちが
自慢の音響機器から流れる音楽も、心地よいです。自家製のホットドッグと、
料理学校の先生に特訓されたというコーヒーは、美味しかったです。

近所だったら、毎日通ってもいいくらい、すてきなお店でした。
ゆっくりした午後の、やわらかなやさしい時間が過ごせます。

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Sさんの丁寧な接客も、なかなかどうして、すばらしいものでした。
っていうか、おおさっぱな接客しかできないまんまるには、勉強すべき
ことが沢山ありましたよ。


それと、ここのお店には、もうひとつのウリが。

ふくろうが、いるんです。

ええ、生きてるふくろうが。


まんまるたちが訪れた時は、天井にすえた小屋の中で目を閉じて寝てたんですけど、
子連れのお客さんが来たとたんに、いきなり翼を広げてクークーと鳴き始めました。

Sさんいわく、

「大人には敵わないけど、子供なら勝てる!と思って、お子さんが来ると、
ああやって威嚇するんですよ」

とのこと。

威嚇なんだー。かわいいんですけどー。あと、顔がちょっと変なので、
威嚇すればするほど、笑っちゃうんですけどー。



子供への威嚇が終わってふくろうがおとなしくなると、店内には再び、
静かで、柔らかな時間が戻ってきました。


カフェの場所は、東京メトロ千代田線の「曙橋」と大江戸線「若松河田」が
最寄り駅になるのかな。もしお近くに御用の方は、ぜひ一度、お立ち寄り
ください!東京女子医大と市ヶ谷の自衛隊駐屯地の間くらいです。

ふくろうハウス
〒162-0063
新宿区市谷薬王寺53 Gardenビル1階  
電話03-6457-7423
営業時間 9:00~18:00



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by manmarunesan | 2011-01-20 14:16 | キッシュ&タルト SEKI

嬉しいこと三連発 その1 Sさんのこと

Sさんは、去年、お店の前に貼っていたポスター(もちろんまんまるの
手描き・・猫が悲鳴を上げて募集を呼び掛けている、リアル感満載のもの)を
見てきました。

本当に人手が足りなかったシェフは、本当にどうするべきか悩んだそうです。

やる気は人一倍、ありました。そして、自分もカフェの店を出すことを夢見て、
その専門学校にも通っていました。

ただ、sさんは長年のサラリーマン業を見事に勤め上げ、昨年か一昨年、
会社を定年退職した人でした。

さすがに、自分より年上の人をあごで使える度胸は、シェフにはありませんでした。

事情を話して、せっかく募集を見て来て下さったのに、申し訳ありません、と
お断りをしました。

すると、Sさんは言ったそうです。

「ぼくは、シェフから料理を学びたい。実はぼくは、生まれて初めて食べたキッシュが
あまりにも美味しくて、ぜひぼくの店には美味しいキッシュを置きたいんです。
だから、お給料はいりません。どうぞ、このお店に、無給の見習いとして置いて下さい。」


それからSさんの修行が始まりました。まんまるも、30歳にしてプリムールを
始めた時につくづく分かったことですが、料理の世界は「途中参加者」にはかなり
キツイです。立ちっぱなしな上に、常に厨房と客席に目を配らねばなりません。
しかも、営業時間以上にその前後の「仕込み時間」と「後片付け時間」がハード
です。何より、一見温厚でチキンなシェフが、厨房では料理の鬼と化し、
少しでも自分のペースを見だされると怒号が飛びます。心身ともにキツイ仕事
です。

ましてや、ずっとサラリーマン生活をしてきたSさんには、本当にキツイ毎日
だったと思います。でも、いつもニコニコしながら、「いやあ、ぼくがドンくさい
から、シェフにも負担掛けさせてしまって」と照れ笑いをしていました。


Sさんの努力は大変なものでしたが、それでもなかなか身体は思うように動かず、
結局は料理そのものを手伝うよりもお皿を洗っている時間が多くなっていきました。

「ぼくはね、シェフのキッシュが作りたいんだよね。それをお客さまに
提供したいんだ」

sさんは少年のように目をキラキラさせて、シェフが料理の仕上げをする様子を、
お皿を洗いながら眺めていました。でもやっぱり毎日シェフに怒られて
いました。

半年ほどしたころでしょうか。ようやく、Sさんの研修生活は終わりました。
Sさんと同じ学校(料理学校ではなく、カフェやレストランを出したい人の
ための学校だったようです。ですから、生徒さんもリタイア組のオジサン
ばかりだったようです。)の同級生が、一番乗りでお店をだすことになった
のです。そのお店の開店準備を、Sさんも手伝うことになりました。

「いろいろ、お世話になりました」と、最後の日にSさんは深々とシェフに
頭を下げて言いました。「でもまだ色々お聞きしたいことがありますから、
どうぞお邪魔でしょうが、今後ともよろしくお願いします。」


Sさんのお店は、でも正直、前途多難でした。Sさんがお店を出すのは、Sさんと
親しければ親しい人ほど、反対しました。高円寺でどんどんお店がつぶれて
行くのを目の当たりにして、Sさん自身も少し自信を失いかけていたようです。



その後半年近くが経ち、Sさんのこともあまりプリムールの人たちの間でも話題にでなく
なったころ、久々にSさんからシェフに電話がありました。

「キッシュを焼いたので、講評していただけますか?今日、お店に持っていきます!」



まんまるなど、実はもうSさんはお店を諦めてしまったんじゃないか、と危惧して
いたのですが、シェフが電話で話した様子では、ようやく、お友達のカフェも
開店の目処が立ったそうで、しばらくは一緒にお友達のお店を手伝う、とのこと
でした。もしかしたら、そこでキッシュを出そうと思っているやもしれません。


夜、まんまるがプリムールに顔を出すと、シェフがちょっと嬉しそうな顔をして
キッシュを持ってきました。

まんまるが夜、顔を出すと、まずはその日の試作品か、あるいはその日の一番の
おススメ料理を持ってくるシェフが、定番中の定番のキッシュを持ってくるなんて
珍しいこともあるものです。

するとシェフが、「驚くから、食べてごらんよ。」と、また嬉しそうな顔をして
言いました。


一口、ぱくり。うん。いつものシェフのキッシュの味です。別に、驚くことは
何もありません。


「別に、驚かないよ。いつもの味じゃない」と、まんまるがいうと、シェフは
シテヤッタリの顔になり、

「俺のじゃないよ。sさんのキッシュだよ」と言い放って厨房に消えて行きました。


え?Sさんのキッシュ???まるで、シェフのキッシュそのものの味ですよ。
パートブリゼ(生地)の部分もパリっと仕上がっていて、それもシェフのキッシュ
です。塩味も、好い塩梅。

まあ、敢えて苦言を呈するなら、タマネギはもう少し茶色くローストしたら
全体に甘味が出てさらに芳ばしくなると思うのですが。でも、しゃきしゃきと
歯ごたえが残るタマネギも、決して悪くはないのです。それはそれで、美味しいし。



失礼ながら、こんなに美味しいキッシュをsさんが作れるようになるなんて、
夢にも思っていませんでした。いつまでも夢を語る少年でいるのかと思いました。

でも、Sさんはちゃんと、前に進んでいました。困難な夢の実現に向けて、
一歩一歩。そして、今こうしてようやく、スタートラインに立ったのですね。


まんまるが絶賛する様子をみて、シェフはsさんに電話したようです。

「ようやく卒業ですね」とかなんとかいうシェフの声が厨房から聞こえて
きました。そして途中、まんまるが電話に代わりました。

「Sさん?美味しいですよ、キッシュ。最初、シェフが作ったキッシュだと
勘違いしたくらいですよ。」と、まんまるが言うと、


「えー、オーナー(と、まんまるのことをSさんはこう呼びます)にそんな
褒められると、うれしくなっちゃうな。さっきも、シェフからお褒めの言葉を
戴いて、本当に感激してるんです。」

電話の向こうから、Sさんの喜びと興奮が伝わってくるようでした。

「ぼくは、勝手にシェフのことを師匠だと思ってますから。また、色々
教わりに行きますから、よろしくお願いしますね。」



・・・来たら来たで、またシェフに怒鳴られると思いますけどね。いいんですか?


「ぼくはね、シェフのあの一言で、決心しましたよ!どんなに困難でも、
絶対、ぼくはお店を出しますよ!」


ああ、受話器の向こうでキラキラと少年のように目を輝かせるSさんの姿が
見えるようでした。


こうして、無事、プリムールは新たな卒業生を送り出すことができました。
60の手習いにして、最高齢の卒業生でした。
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by manmarunesan | 2010-11-01 22:50 | キッシュ&タルト SEKI



とあるビストロの幸せほおばり日記
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