毎日が幸せ食堂 ~シェフにナイショでブログ始めました~

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フランス珍道中(最終回)  パリの風を切って走る!

 美味しいもので一杯になったお腹を抱えて、私たちはレ・アールにある
貸し自転車屋さんに行った。そこは6時で閉店ということだった。1時間だけ、
借りることにして、セーヌ川を東に走ることにする。
 
 目標は、アラブ研究所!その向こうにモスク(イスラーム寺院)がある
という。パリの中に建つモスク を見たかったのだ。セーヌ川クルーズで、
遠目にガラス張りの研究所の建物は確認したので、場所もばっちりだ。

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 が、パリで自転車に乗るのは意外に難しい。自転車の交通ルールが
分からないのだ。どこまで歩道を走って、どこまで車道を走っていいのか、
区別がつかない。とりあえずは、レ・アール地区の人ごみを(歩道伝いに)
抜けて、車道に出てみる。

お、パリっ子が自転車に。ふんふん、ああやって、バスの後ろを走ればいいのね。

じゃあ、アタシも。シャーシャー。

おや、

バスが停車ですか。じゃあ、左から抜きますよ。

大丈夫、対向車はこないから。って、バスの前に来ましたよ。

仕方ありませんね。全力漕ぎですよ~。ジャカジャカジャカジャカ。

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 シテ島まで来た辺りでバスに道を譲ると、シェフの姿が見えない。

しばらく待っていると、顔色の変わったシェフがようやく追いついた。

「お前さんの暴走、車だけで十分だよ。もう、いいよ、帰ろうよ。」

「えー、もう少しだけ、ほら、ここは多分自転車専用道路だよ。だって
自転車の絵が描いてあるでしょ。だから、この先もうちょっと。」

「じゃあ、あとチョットだけだよ。」

 自転車専用道路であれば、走りたい放題である。セーヌ川を右手に、
遠く、アラブ研究所のガラス張りの建物が見えてきた。キラキラと
弱弱しい冬の太陽の光が反射している。


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「も、もういいでしょう、時間がないから、そろそろユーターンしませんか?」

気弱なシェフの提案である。仕方ない、帰りの飛行機もあるし、荷物を
ホテルに預けたままなので一度ホテルにも戻らないといけないし、
これくらいにしようか。

 オルセー美術館の長蛇の列と、ポンピドーセンターの人ごみを横目で
見ながら、再びレ・アール地区の雑踏に自転車を進める。結局、正しい
自転車のルールは分からないまま、めちゃくちゃに小一時間サイクリング
したようだ。シェフは、すっかり参ったようだ。

「パリの人たちの運転は荒いからねえ。」

「違うよ、乱暴なのはお前さんの運転だよ。」


自転車を返して、ギリギリの時間までさらにパリをブラブラ。

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花の色も野菜の色も鳥かごまでも、色鮮やかなパリの街だ。


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もう少し暖かくなれば、もっともっと色鮮やかに彩られるんでしょうね。


あれ?シェフがいませんよ。ちょっとちょっと。

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何か物色してますね・・・

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「ブロンの牡蠣も食べたかったねえ。ブルターニュの朝市の牡蠣は、日本と
同じ種類の牡蠣だったからなあ。それだけが心残りだよ。」


ま、まだまだ食べたりないんですね、シェフ。今回はこれくらいで勘弁して
あげましょうよ(誰に?)。頑張って働いて、また、来ましょう。


とりあえず、さらば、パリ。また会う日まで。





《シャルル・ド・ゴール空港で》

まだまだ旅し足りなさそうなシェフに向って、まんまるは言いました。


 「ところでさ、せっかくまだ飛行機まで時間もあるし、旅行のまとめでも
しようよ。今回の旅行で、一番面白かったのは、何だった?」


 「・・・バスが、待っても待っても来なかったこと、かな。」

(了)
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by manmarunesan | 2010-03-19 11:26 | 旅のおもひで

フランス珍道中⑲ パリのビストロにて

いたるところにカエルが描かれている蛙の店・・だからといって
別に蛙専門店ではないらしい。

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ちらりと店の前に掲げてあるメニューを拝見。

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「本日の一品」 仔羊の腰肉 腎臓ときのこ詰め

ごくり、とシェフの喉がなる(気がした)。


「オードブル」

・ 本日のスープ
・ ブルゴーギュのエスカルゴ(6個)
・ 野菜のグリル トマトとバジルのなんとかソース
・ 鴨のテリーヌ 赤たまねぎの酢漬け添え
・ レンズ豆とLentillesのサラダ

ぐぅ、と私のお腹ががった。


「メイン料理」

・ ビーフステーキ エシャロットのソース ジャガイモ添え
・ 若鶏の赤ワインソース煮
・ 鱈のソテー なんとかソース 野菜サラダを添えて
・ ジャガイモと牛肉の伝統的なパイ
・ ホロホロ鳥のソテー カボチャのグラタン添え
・ パルメザンチーズのリゾットとチキンのレバー炒め

ダラダラと、私たちのよだれが垂れて、石畳の道のうえに、おちた。

 い、いかんいかん、このままでは(それでなくても犬の糞害に憤慨
ぎみの)パリの道路をもっと汚してしまう。と、言うわけで、カエルの
置物に招かれて、重い扉を押す。

 ガランガランと、これまた重そうなドアベルの音。重いドアの
向こうには、重々しい態度のムッシュウが、若干訝しげな面持ちで
私たちを迎え入れた。

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私は若干気後れしつつも、指を二本立てて、ムッシュウに言った。


 「ふ、ふたり。」

 「うぃ、マダーム」

 貧乏そうな東洋人なんか、外から見えない席に追いやってしまえ、
とか思われたらどうしよう、という私の心配は杞憂に終わった。店の
真ん中の席に案内され、他のフランス人客同様に、うやうやしく
メニューを手渡された。

 が。ガガーン、メニューが、英語である。料理英語は私が苦手とする
ところであり、シェフの唯一の活躍の場が失われることも意味する。
し、しかし。こんな程度の「なんちゃってフランス語」なのに、英語の方が
しゃべるのは楽なのに、フランス語のメニューなぞ頼んでもいいんだろう
か・・。

「す、すみません。」

「うぃ、マダーム」

「こ、この、ピノノワールの赤ワインをハーフボトル。プリーズ」

「うぃ、マダーム」


 我ながら、恥ずかしいフランス語である。こんな程度のフランス語
なのに、いいのか、フランス語メニュー。しかし、このままでは
料理のフランス語(だけ)はぺらぺらのシェフが全く機能しない。
ここで役に立たなくて、いつ、役に立つというのか。

 意を決して、私はムッシュウを呼んだ。


 「す、すみません。」

 「うぃ、マダーム。」

 「あの、フランス語のメニュー、プリーズ。彼は、フランスの
コックさんなんです。」

 し、しまったぁぁ、今の言い方だと、「フランス人のコックさん」と
なってしまう。ベタベタな東洋人の私たち。明らかな嘘である。

「び、ビストロの。トウキョウで。」

 慌てて付け加えてみる。いずれにせよ、「フランス人のコックさん」
という嘘を言っていることを訂正してはいないのだが。

 再び訝しげなムッシュー。大丈夫であろうか、通じているのか?

私のフランス語よ。ああ、こんな程度なら、英語でも、ペルシア語でも
問題なく言えるのに~。憎い、憎いよ、私のフランス語。

 しかし、ほどなくして、ムッシューはフランス語のメニューを
持ってきた。通じたのか?あるいは、ムッシューの勘が冴えているのか。

 いずれにせよ、長考である。まるで、NHK教育テレビの将棋の
時間である。「後手、5・5・金」みたく。一手一手(メニュー)を念入りに考え
ないと。なにしろ、これが最後の昼餐であるからな。

先にしびれを切らした 私は、面倒なので「今日のスープ」に、
そしてメインは、心惹かれる 「ホロホロ鳥」で。


さあ、シェフは?「先手・7・4・歩」そうきましたか。

野菜のグリル」と「本日の一品」ですね。

了解。ようやく、注文。

最後の最後なので、シェフがフランス語を駆使して注文。って言っても、
「スープ」「野菜グリル」「ホロホロ鳥」「今日の一品」の、10単語程度
だけだけど。

 そうこうしているうちに、注文したワインが恭(うやうや)しく
運ばれてきた。キュキュッと手際よく、ムッシュウはワインのコルクを
抜き、「さあ、どっちが試すんですか?」と目で尋ねる。しかたなく、
「ああ、私です」と、私がグラスを少し持って答える。恥ずかしい瞬間
である。

ちょこっと注がれたワインを、口に含んで、「ウぃ」と答える。

酔っ払っているわけではない、念のため。「これでOKです」の意味で
ある。

 そして、いよいよ、オードブル。あ、食事中シェフの前で料理の写真を
撮るのはNGなので(せっかくの料理が冷めるじゃないかっ!コックさんに
失礼じゃないかっ!!)、お料理の写真はありません。念のため。


今日のスープは、

温かいジャガイモのポタージュ

胃にやさしい感じです。そして、シェフの頼んだ 野菜のグリルが、
ことのほか美味しい。野菜一つ一つに味がある。何より、
真っ赤に熟れた(!)にんじんの歯ごたえが、まるでたけのこのように
シャキシャキした弾力で、初めての体験である。少しすっぱいソースも
グーだ。

 「旅行に来て初めて、美味しいと思うものに出会ったよ。」

 嬉しそうに感想を漏らすシェフ。え?これまでのものは、じゃあ、
シェフ的には不合格だったのですか?マジですか?確かに、とっても
美味しいものではないけれど、十分楽しめたのではなかったのですか。う、
まあ、あれら程度であれば、シェフの方が美味しいし。


 当初の目的であった

シェフの料理は、そんじょそこらのフランスのお店(お金のかかる店は別ですよ☆)よりも、美味しい、ということを実感してもらう

は、

こうして私が知らぬ間に達成されていた。

そして、第2の目的であった

何か美味しいものを食べてくる

も、今ここにこうして達成された。


いいお店を偶然とはいえ、見つけられてよかった~。


 そして、メインである。香ばしい匂いを立てて、私の目の前には
ホロホロ鳥のローストが鎮座ましました。キリキリと、ナイフを立てて
一口、パクリ。・・・う~ん、ホロホロ鳥だあ。

 そして、シェフの注文したお皿。

仔羊の腰肉、肝臓ときのこ詰め」を頂く。

(行儀が悪いが、半分こである。)(←これが、私たち流儀)

う~ん、美味しいですよ。時々きのこと何かの間に挟まっている黒いものは、
これはトリュフですか?爽やかなのに、菌類の匂いが最後にしますね。
美味しいですよ。カリっと焼いた外側に、火の通り具合の絶妙な羊の肉。
そして、ソース。確かに、シェフじゃないけど本来の「フランス料理」の入り口くらいには、
辿り着いた感じがしますよ。

 デザートは、もう入らない。コーヒーだけを注文して、静かな昼餐の後
の時間を楽しむ。

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先客で来ていた、「定年退職後を楽しんでいる」ようなおじさんたちが、
かなり酔っ払いながら席を立った。

どうやら、パリ観光に来ていたフランス人のようだ。「朝市で買ったよ」
と、別の席のおばさんに見せていた。「あら、いいトリュフね。」
(←と、言っているように聞こえる)と、気さくに応えるおばさん。

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 お会計を済ませ(貧乏人なのでチップは少なくてすみません)、ムッシュウに、
「あなたと、あなたのレストランのおかげで、私たちはよい旅行の思い出が
できました。」と、英語で伝える。「それはありがとうございます。」と、
英語で返すムッシュウ。ああ、英語でよかったのね。

 パリ最後の昼餐も大満足で幕を閉じ、気がつけば、もう4時過ぎである。
ひょえ~、あと2時間もないよ・・・。

じゃあ・・せっかくなので、セーヌ川周辺をぶらぶらしましょう!自転車で!

 そしてテンションがますますあがりきった私は、レ・アールの貸し
自転車屋まで急いだ。

(次が本当に最終回!)
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by manmarunesan | 2010-03-16 13:21 | 旅のおもひで

フランス珍道中⑱ パリに戻る

カンペールからパリまで、TGVで5時間ほど。ドゥアルヌネの
お惣菜屋さんで買ったハムやその他のおかずは、TGVの中で
白ワインと共に食べきってしまう。

モンパルナス駅に着いたころにはもう夜半近かった。

わずか2日しか離れていなかったのに、パリに戻ると、なんだか
妙に懐かしい感じがした。もう、2ヶ月も離れていたみたいだ。
せっかくのモンパルナス駅なので、ホテルに直行せず、一度
外に出て、駅を見物。そして、そのまま、パリの夜の街を歩く。

遠くに見える、あれがエッフェル塔。こっちの通りをまっすぐ
いって、ほら、ライトアップされて暗闇に浮き上がってるのは、
オペラ座。『オペラ座の怪人』って、知らない?え?知らないの?
え~と、手塩にかけた女弟子が自分を捨ててお金持ちのイケメンを
選んでしまう気の毒な男子の話だよ。

メトロに乗り、シテ島で降りる。

ほら、これがパリのノートルダム大聖堂。シャルトルでも見たでしょ。
ノートルダムって、「私たちの夫人」って言う意味で、マリア様を指す
んだよ。

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シェフがノートルダム大聖堂を見上げた瞬間、一斉に明かりが消えた。

そう、ちょうど深夜の12時を回ったのである。暗闇が、にぎやかな
パリの夜を飲み込んでいく。

じゃあ、そろそろ帰ろうか、パリ最後の夜も、これで終わり。

       ***********

 翌朝も、うっすらと晴れてパリ散策日和となった。いざ、いかん、パリ市内へ。
今日のテーマは「ベタなパリ観光」だよん。

目指すは、シテ島。クルージングして、最後に一番高い昼餐をして、
できれば自転車にも乗ろう。

 と、いうわけで、セーヌ川クルージングである。何を隠そう、
私は船で観光もしくは移動、が、かなり好きである。

 トウキョウ観光名物である隅田川下りはむろんのこと、
江東区が運営する亀戸の運河ツアーだって、葛西臨海公園発両国着の
シーバスも、屋形船も、経験済みである。東京湾から、鹿児島まで
カーフェリーで渡ることも計画したくらいである。ならば、やっぱり
セーヌ川も船だよね!

 と、一人盛り上がったのはよかったが、いざ、クルージング船に
乗り込んで出発を待っていると、シェフがボツリと言った。

「オレ、船は子供のよくジイサンの乗ってたから、あんまり楽しくない・・・」

 は、早く言ってよ。シェフ、もう出発だよ~~~~~。

ボーーーーーーーーーー

 テンション下がるシェフは船内において、私は一人甲板に出て、
セーヌ川の流れに身を任せ、少し冷たい風に当たった。今日でお別れ
ですよ、パリ。でもまた来るからね~。


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 1時間ほどのクルージングを終え、(私は)大満足で陸に上がると、
ちょうどお腹もいい具合に空いていた。

 さあ、シェフ。今日はあなたが行きたいところに行きましょうか。

「サン・ルイ島の中にある『ひらまつ』(←日本で超有名なフレンチのパリ支店)
は行かなくていいかな。」

 ごめん、無理。そこまでの財力は、今の私には、ない。っていうか
この服じゃ、シェフが行きたい店には、まず入れませんよ。
 意見の一致が見られず、結局、クスクスでも食べようか、ということ
になり、シテ島からマドレーヌ寺院方面にツラツラと歩いていく。

 と、妙に心惹かれる蛙の看板のレストランに遭遇。いたるところ、
カエル君である。ビストロ・何とか・グルヌイユ。
美味しそうなオーラを出しまくりじゃ、ないですか。

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 ゴクリ、とシェフの喉がなった音がした(ような気がした)ので、
パリ最後の昼餐は、この蛙の店に決定!

(お腹を鳴らしながら、つづく)
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by manmarunesan | 2010-03-15 12:42 | 旅のおもひで

フランス珍道中⑰  嘘みたいだが、またしてもバスが・・・

【皆様】

最近、シェフが、「ブログがどうのとか言われたぞ」と申しております。
大変大変恐縮なのですが、これをごらんになって皆様、あくまでも
ブログをやっているのは

シェフには内緒

ですので、どうぞどうぞあつかましい申し出ですが、
シェフには内緒でお願いします~。





【ここから日記】

楽しそうな催し物に後ろ髪を引かれながらも、私たちはバス停に向かった。
バス停に向かう途中、今度は、仮装した若者たちに出くわした。
やっぱり、今夜はお祭りがあるんだね。それは間違いないらしい。

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バス停には、これからカンペールに向かうであろう、一人旅ふうの
若者と、「トレッキングが好きなんです」ふうのおばさんと、あと
数人がすでにバスを待っていた。

 が、またしてもバスは来ない
10分過ぎて、自分たちが待っている場所に自信のなくなった一人旅ふうが、
前の観光案内所に入っていった。
そして出てきて、「ここで間違いないよ」と、他の乗客たちに伝えていた。

・・でも、まだバスはこない
もう軽く20分は過ぎている。
さすがに、大体において鷹揚なフランス人たちもカリカリしてきた。
再び、一人旅ふうが立ち上がって観光案内所に入っていた。


ま、まずい。またしても、カンペール発のTGVの発車時刻に、
ギリギリの時間になってきた。再び、手のひらがじっとりと濡れてきた。

もしかして、今夜のお祭りのせいで、ドゥアルヌネに入る、もしくは
出る道路が大渋滞なのだろうか。・・確かに、見る限りでは車の量は
多そうだ。でも、30分近くも遅れるほどではないようだ。

「帰りの切符、また変えたほうがいいんじゃない?」

 確かに。私は、また国鉄の出張オフィスに向かいながら、
頭の中でフランス語の「来る」の活用を思い出していた。来るって、
なんだけ?「行く」は思い出せるのに。ええい、ままよ(←死語)、
到着する、に変更だ。確か到着する、は、英語のarriveに似てた。


 国鉄のオフィスに入って、私は頭の中で繰り返したナンチャッテ
フランス語を披露した。


「私たちの、バスが、到着しません、でした。」(←今回の旅行初、「過去形」にも挑戦)


 私の姿をみて、さっきのオフィスのおじさんが私に「なぜ?また来た?」と
質問する前に、私は先手を打って出たのだ。

こないものは仕方ない、わたしのせいでは、ない。(だからといって、えばることも、ない)

「なぜ?」

おじさん、やっぱり、そうきたか。

「なぜだか、私はわかりません。everyone、どうしてだか分かりません。バス停で。」

 あちゃ~、とうとう英語とのちゃんぽんだよ。おじさんは、一瞬
不思議そうな顔をしたが、私の「それよりどうしましょう」な顔を
見て、早速間に合いそうなチケット、というか、今日の最終電車の
チケットをPCで探し始めた。

「タクシーで、ここからカンペールまで行くかい?だったら、
呼んで上げよう。」

 げっ、タクシー?一体、いくらくらい掛かるんだろう、バスで
およそ40分ほど掛かった道のりである。2万円くらいだろうか。
だったら、ゆっくり帰って、最悪カンペールに泊まってもいいか?
あ、ダメダメ、パリのホテルは午前中にはチェックアウトしないと。
まあ、このままチケットがキャンセルできずに無駄になることを
考えれば、いいか、タクシー代が2万円でもっ。
(↑この間、わずか、0.01秒)

「ありがとう、ほんとうに、ご親切に。」

・・・しかし、今日は祭りの日。上からじゅんぐりに頑固そうな
太い指がタクシー会社の電話番号を押していくが、ことごとく、
断られているようだ。首をかしげながらダイヤルするおじさんに、
私は聞いてみた。

「今日は、お祭りがあるんですか?」

「そうだ、Mardi Grasだよ。」

「マルディ・グラって何ですか?」


この余計な一言が、おじさんの作業を全て中断させてしまった。
「マルディ・グラ・・・なんていえばいいのかな・・マルディ・グラはマルディグラなんだけど・・・」
マルディ・グラの説明に、悩むおじさん。手、止まってますよ。もう、いいです、
マルディ・グラは忘れてください。って、言えない、フランス語では。


「あの~、じゃあ、私の電車のチケット、キャンセルってできますか?」

おじさんを現実に戻すべく、一番衝撃的な提案をしてみた。

「君は、今夜パリに帰らなくてもいいの?」

おじさんは、突然英語で話し始めた。下手な英語だ。でも、できるんじゃん。

「できることならば、私は、今夜、パリに帰りたいです。でもカンペールに行くことができないなら、せめて、チケットはキャンセルしたいのです。お金がもったいないし。」

私の方も下手な英語ではあるが、なんちゃってフランス語よりは、気持ちが楽だ。
ありがとう、英語よ。as long asなんていう接続詞なんかも使っちゃったよ。
分かる、おじさん、あずろんぐ、あず、あい、クッドだよ、仮定法過去だよ。
可能性の低いことを表しちゃってるんだよ。


「じゃあ、まずタクシーに電話しないと。」

真面目な顔でおじさんは、4件目のタクシー会社に電話した。マルディ・グラのことは
すっかり忘れてしまったようだ。

そして、5件目のタクシー会社に、一台待機中のタクシーがあった!
それなら、パリ行きの最終電車には間に合う。よかった。ひとまず。
何とか、チケットの変更もでき、最後に私はずっと心に引っかかっていた疑問を
おじさんに投げかけた。

「あの・・・タクシーって、カードは使えますか?」

「ノン」

ガビッビッビーン。最後の試練である。

「もう、お金がなくて、カードしかないんだけど・・どうしよう。」

「じゃあ、お金を下ろしてきなさい。」

たしかに。正論だ。クレジットカードだもんね。おじさんは続けた。

「向こうに、銀行があるから、まだ間に合うから。今すぐ行って。
タクシーは、このオフィスの前に来るから。急いで!」


ちなみに、「急いで!」はフランス語だった。どうでもいいことだが。


私はシェフをその場に残し、急いでおじさんが指差す方向の銀行に
むかった。ああ、銀行よ、西武のVISAカードでもクレジット
してくれますように・・

祈るような気持ちでカードをCD機に差し込む。おお、何とか
お金を貸してくれるようだ、ありがとう。セゾンのカードは、
フランスの国鉄以外、皆認めてくれましたよ。こんな辺鄙な土地でさえ。
(失礼)。お金も貸してもらえました。これで帰れますよ、セゾンさん。

そして、VIVA!VISA!!

クダラナイ韻を踏みながら、オフィスまで戻ると、すでにシェフは
オフィスの外に出て、タクシーを待っていた。

「お前さんが出てったあと、国鉄のおじさん、お前さんがちゃんと
銀行に向かったどうか、見てたよ。そして『よしよし、ちゃんと
行ったな』とか言って(ホントか?)、オフィスに入ってたよ。」

ありがとう、おじさん、見守ってくれたんだね。

そして、ごめんなさい、 私の後ろで長蛇の列を作っていたお客さん。


しばらく待つと、『24(トゥエンティー・フォー)』の主人公ジャックに
よく似た、つまり、とてもカッコイイ運転手さんが操るタクシーが
やってきた。インタカムなんかしてるあたりも、ジャックっぽい。(ミーハー)

ジャックは、振り向きざまに、一気にまくし立てた。

「さあ、乗って。カンペールでいいんだよね・×××××(←意味不明)
セキュリテ。」

「??セキュリテ、ってどういう意味?なにが、安全?保障?」

ジャックに見とれていた私は、聞き取れないフランス語にちょっと
戸惑った。

「安全ベルトをしろって言ってるんだよ。」

断定型で翻訳するシェフ。そして、驚くべきことに、その通りであった。

 タクシーは、行きのバスの倍のスピードで、そして半分の時間で
カンペール駅についた。ありがとう!ジャック。そして、いくら?





ドゥルルルルルルルルルル (←頭の中で鳴り響く太鼓の音)




プレッシャーで口から心臓が飛び出そうになりなが、おそるおそるメーターを見ると・・・


36ユーロ・・・。ホー、足りた。でも、夕べ泊まったホテルと同じ値段ですよ、ジャック・・

でも、足りました足りました。ありがとう、ジャック。


 カンペールの駅は、すでに夕暮れに包まれ、すっかり薄暗くなっていた。
最後の最後に、大きなトラブルがあったけど(そして予想外の出費が
あったけど)、まあ、過ぎてしまえば、世は全てこともなし、てか。



(一心地ついて、続く。もうすぐ終わりですよん)


【あとがき】

マルディグラとは、西方キリスト教の、四旬節に入る前に祝宴を行う習慣
だそうです。いわゆる、謝肉祭のこと。
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by manmarunesan | 2010-03-14 12:47 | 旅のおもひで

フランス珍道中⑯ ドゥアルヌネのウキウキ気分

ドゥアルヌネの小さなお惣菜屋さんのマダムとグランマダムとの
出会いに、私たちの心はすっかり温まり、バスが来なくてオロオロ
した1時間前のことが、嘘のようだ。

相変わらず、ドゥアルヌネの街中は、なんとなくウキウキしていた。
そして、水曜日のはずなのに、なんだか休日のような静けさだった。

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まだバスの時間まで余裕があったので、私たちは、この町に
漂う「ウキウキ感」の原因が何であるのか、探ることにした。

道行くウキウキさんたちのあとをつけて、人々が集う場所を
見つければ、きっとウキウキの原因が分かるに違いない。

 と、シェフが私をひじで小突いて、とある方向を指差した。
シェフの、頑固そうな太い指の先に目をやると、ヒラヒラの
ドレスなどで仮装した子供たち。



 私たちはこの「ウキウキ感」代表選手たちのあとをつけること
にした。こどものあとをつける不審人物に見られないように、
ある程度距離を置いてあとをつける。

 子供たちから少年少女まで、なんだか町全体が仮装大会のようだ。

 と、子供たちは、大きなシェフの人形が飾ってあるとある
ホールの中へと入っていった。


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「この中で学芸会でもやっているのだろうか。」

私とシェフが顔を見合わせて、さて、どうしたものか、考えあぐねて
いると、どこからともなく、マイクを通した声が聞こえた。ああ、
やっぱりこのホールは、町のコミュニティセンターみたいなもの
なんだね。で、何かこの町の催し物が、あるに違いない。
 

 スピーカーから聞こえる声は、誰かに話しかけているようで
あった。っていっても、なんちゃってフランス語程度では私は
聞き取れないが。

「カバンを持った・・・あなた、あなた・・・マダム・ニッポン!」

 ニッポン、って、日本みたいだね。そんなフランス語もあるんだね、
って、ないよ、おい、なに?なに?アタシに話しかけているわけ?

「黒い帽子・・・おいで、おいで、あがっておいで」(←と、言っているような気がする)

 どこでしゃべっているのか分からないので、私はあたりをぐるり
と見回した。

「おいで、上にあがっておいでよ。」(←と、言っているような気がする)


 スピーカーは私に話しかける。いや、もう、バスの時間だし。私は腕時計を
見せて示すふりをした。どこにいるのか分からない誰かに。スピーカーが
答える。


「そんなこといわないで、何が時間なの?これからはじまるんだから、
おいで、上にあがっておいでよ」(←と、言っているような気がする)


 私は、両肩をすくめて、ムリデスヨ、の格好(若干、アメリカンか?)を
して、見せて、そしてどこにいるかも分からない誰かに手を振った。

「おーい、行っちゃうのかい?これからって時に・・あ~あ、行っちゃったよ、
しかたないね、さよなら!マダム・ニッポン!!」(←と、言っているような気がする)

「アタシ、ずっとマイクで話しかけられていたのかな?まいっちゃうよね、
マダム・ニッポン、なんて呼ばれちゃってさ。まだもうちょっと時間があったから、
もしかして、中に入ってみてもよかったかな。あ、でもきっと時間ないもんね。」

街のウキウキ感も伝染し、ちょっと有名人気取りになり、まんざらでもなさそうな私に、
シェフが静かに言った。


「でも、日本人さん、ってフランス語でいうなら、マダム・ジャポネーズ、じゃないの?」


す、鋭いシェフのツッコミ。確かにそうだった。

結局、マダム・ニッポンの謎は解けぬまま、私たちはバス停に向った。

そして、そこで三度目のトラブルに見舞われるのである。のだが、それはまた次回~。


(引っ張りながら、つづく。)
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by manmarunesan | 2010-03-09 14:55 | 旅のおもひで

フランス珍道中⑮  気を取り直してドゥアルヌネ散策

再び、暢気でハレバレとした時間が戻ってきた。ドゥアルヌネ
ブルターニュにある、大西洋に面した湾沿いの小さな町らしく、
この時期は観光客より地元民が多いらしい。

でも・・

今日は何か催しものでもあるのだろうか。なんとなく、町全体が
そわそわしているようだ。(ただ、具体的に聞くためのフランス語が
わからない・・・)


街をぶらぶら歩いていると、これまで見たどんな惣菜屋さんよりも
美味しそうなお店を発見。三日に一度はプリムールに来る常連さんは、
ウサギの肉が大好きだと言っていたので、この店のテリーヌ(瓶詰め)
でもお土産にしようか!と、意気揚々とお店に入る。

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小さいながらも「美味しいですよ!」がプンプン漂うこのお店に入ると、
かわいらしいマダム(年上の人に「かわいらしい」という言葉は失礼
だが)が、ニコニコしながら私たちを迎えてくれた。

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・・・美味そうだ。何から何まで、美味そうだ。この店の惣菜を
端から端まで食べるために、あと1週間、この街に泊まってもいい
くらい、美味しいそうだ。

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なにやら積んであるものも、ぶら下がっているものも、気になるものばかり・・。

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これ、マダムの手作りなんですよね?


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これも、マダムの手作りなんですよね?


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私が近所に住んでたら、きっともう、何も自分では作らない(あ、今も
そうですけど☆きゃは)ですよ、きっと。

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ああ~、これは、美味しいでしょうね。そして、高カロリーでしょうね。
でも、私はそんなこと、気にしません!(してたら、シェフと一緒に
なってたりしません!)

 私たちが美味しそうな惣菜を眺めていたら、中から小さなオバアサン
もニコニコしながら出てきた。

「あなた、フランス語は分かるの?」

「ほんのほんのちょっとだけしか分かりません」

 すると、マダムが自家製らしいハムを指差して何か言った。

す、すみません、正直、聞き取れませんでした。

「『我が家の自慢のハムだから、これはぜひ食べてみてくださいな。』と、
多分言ってるんだよ。あと、ハムの作り方を説明してるんだ。」

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 これまで、私がフランス語を話すときはまるで他人事のように
していたシェフが初めて口を開いた。

「え???分かるの?」

「なんとなくな。“燻製にしない”っていう単語だけは聞き取れた。」

そ、それだけですか?

すると、今度は小さいオバアサンが何か言ってきた。す、すみません、

わかりません。

「どこからきたの、って言ってる?」 と、シェフのフォロー。

「え、ほんとに?」

すると、マダムとオバアサンがニコニコしながら

「トキョゥ?」

ああ、トウキョウのことですね。ほんとだ、すごいよ、シェフ。

私は、すかさず、ウィ、と言って、うなづいた。満足そうな、マダムたち。

「こんどは、フランスはどうか、って聞いてる。」

「ほんとに?」

シェフの言葉(勘)を信じて、フランス語でこう答えた。

「えー、フランスは、とてもうつくしいデス」

お~、と、歓声をあげるマダムとグラン・マダム(←造語)。

「そして、フランス人は、とても親切です、ホントに」と、付け加える私。

おおおお~、とお互いの顔を見合わせて喜ぶ二人。

そして私たちは、マダム自慢のハムと、今夜ホテルで食べるための
お惣菜(豚舌とレバーなどで煮たもの、シェルのパスタをトマトで
煮たもの、野菜と豚肉の炒め物)と、テリーヌの瓶詰め4つを買った。

フランス国鉄の自販機で認められないVISAカードを出すと、マダム
は店の奥からカード読み取り機を取り出して、慣れない手つきで
操作する。とても旧式のもので、カードが普通のフランスとは言えども、
かなり使われてない感が漂う。もちろん、マダムも方も、使い慣れてない感が
プンプン漂う。

そして、案の定・・・認識されない

悲しく点る、赤いランプ。とは~、またですか・・。

ああ、小さな町の肉屋さんでは、天下無敵(?)のセゾンカードを
認識してくれませんよ・・ 西武さん。今、社長さんは誰ですか?

遥か遠くにいる(はず)の西武の社長を思いながら、現金ないのに
どうしよう・・と途方にくれつつ、マダムのほうを見ると・・。

あれ? ま、マダム?カード、逆に挿してますよ。それじゃ、いくら
何でも読み取れませんよ?

当然、「逆」という単語が分からないので、私は手をぐるりと
上下に反転させて、カードを指差した。勘所のいいグラン・マダム (造語)が、
「反対にして、やってごらんってよ。」(←推測)と忠告。

 見事、認識!ハ・レ・ル・ヤ!喜ぶ4人。

 ちなみに、そこで買った自家製(たぶん)のハムは、パリのホテルに行き着く前に、
っていうか、カンペールの駅に着く前に(私が知らぬ間に)半分ほどなくなり、
カンペールからパリのTGVの間に、残りのワインと一緒に全て消えてしまった。

マダムが自慢するとおり、美味しいハムであった。

私のイメージする
ハムとは、遠いところにいらっしゃったハム様であった。
「作り方を聞けるくらい、フランス語ができたらなぁ」
その言葉、忘れるなよ、帰国しても、シェフよ!

(さて次回、またトラブルが発生しますが、この時点では幸せ満喫で続く)


【あとがき】

このときは、まだ燻製にしないハムの作り方を知らなかった私でしたが、
今では、シェフの熱烈豚肉研究のおかげで、あのときのマダムたちが説明
してくれたことがどんなことだったのか、少し想像がつくようになりました。
(でもまだ想像程度)
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by manmarunesan | 2010-03-06 21:33 | 旅のおもひで

フランス珍道中⑭ それでも・・バスは・・来ない(涙)

【これまでのあらすじ】
ブルターニュの町、ドゥアルヌネの港から帰るバスが来ないことに
顔が青ざめる私とシェフ。

停留所のバス案内やら時刻表やらを見ているうちに、帰りのバスは、
港の停留場からではなく、ここから3キロくら先の、ドゥアルヌネの
市街地にある、旅行案内所前から出ることが発覚。慌てて、港から
市街地まで移動する私たち。

なんとか、14:20発のバスには間に合いそう。そして、
帰りのTGVにもギリギリ間に合いそうだ。一安心の私たち。

・・・なのに、14:30になっても、バスは、来ない・・・


【ここから日記↓】

 再度、よーく予定表アンド時刻表を眺めてみる。考えてみれば、
朝、駅前のバスオフィスのさっぱり美人は、帰りのバスについて、

12:40 旅行案内所発(←私たちが港で待っていたバス)(来ない)

のバスを第一候補として勧め、


14:40 旅行案内所発 (←私たちが今待っているバス)(来ない)

のバスは、勧めず、


16:30 港発・旅行案内所経由

のバスを第2候補として勧めたのだ。


なぜ、あのサッパリ美人は、今私が待っているバスを薦めず、
その前のバス(つまり、観光案内所発の、私が乗り過ごしたバス)か、
あるいはその次の、2時間後の4時半出発のバスを薦めたのだろうか。
彼女が薦めた2本のバスと、今私が待っているのに来ないバスとの
違いって、なんだろう???


 人間、真剣になると色々なものが見えてくるものである。

フランス語初歩の初歩レベルの私であったが、停留所にあった時刻表を
眺めていると、それぞれの単語の意味を思い出した。

「バスの日」という小さな欄が、まず時刻表の一番上にある。

そこに、彼女が薦めたバスはLMJVSという
大文字が書いてあり

、今私たちが待っているバスにはMeと書いてある。


ここに、バスが来ない秘密が隠されているようだ。



ポコポコポコポコ・・・・チ~ン


っわかったぁ~~~~~!!人間、真剣に考えれば分かるものである。

これは、「日」ではなく「曜日」を示しているのだ!

LMJVSは、

Lundi(月曜日)Mardi(火)Juedi(木)Vendredi(金)Samedi(土)の
頭文字で、

MeはMercrdi(水曜日)の頭二つの文字だ!
(おそらく同じMで始まる火曜日と区別するためであろう。)

で、今日は・・・火曜日Mardiじゃん。

Meじゃ、ないじゃん。つまり、水曜日にしか来ないバスを、私たち(と、同じく
バス停でそわそわしていた若者二人組)は、そわそわしながら待っていたのだ。


ガッデム(無心論者だけど。)



だから、すっきり美人はこのバスを薦めなかったのかぁぁ。

なぞは、解けた。

だが、ついでに、バスは4時半まで絶対に来ないことも、判明した。


 ど、どうしよう、チケット。このまま、2万4千円くらいはする、TGVの
帰りのチケットをみすみす無駄にするのであろうか・・・・。2万4千円あったら、
何が出来る?ペルシア語の大辞書も買えるし、パリでかなりいいレストランで
食事も出来るよ。

と、嘆いている間に、目の前の観光案内所が開いた。

職員が、長いランチから皆戻ってきたようである。気を取り直して、さっそく
秘儀「なんちゃってフランス語」の出番である。

「こんにちは、あの、国鉄の切符を変えたいんですが。」

「ああ、それなら、近くに国鉄のオフィスがあるので、変更できますよ。」

っな、なんですとぉぉぉぉ。だったら、何も「ラ・ガール通り」停留所
降りることもなかったじゃん。そして、あんなに落胆することもなかった
じゃん。

観光案内所のお姉さんにお礼を言って、鼻歌交じりで国鉄の事務所を
探す。歩いて・・10秒のところにあった。っていうか、さっきその前
に立って、シェフの提案(ゴーカートに乗りたい、とか、ポップコーンを買うとか)
を却下してた場所だった。

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オフィスを覗くと、やや頑固そうなおじさん
(私が想像する、ブルターニュ男子はこうでないと!)が、届いた手紙を整理している
ところだった。

さあ、頑張れ、私よ。シャルトルでしゃべったフランス語を繰り返せばいいのだよ。


「こんにちは。ここで、切符の変更はできますか?」

「うぃ。」

おじさんは、手紙の整理をやめることも、私たちを見ることもなく、一言で、答えた。

「この切符で、変更できますか?」

「うぃ」

「VISAカードは使えますか。」

「うぃ」

 そして、手紙の整理を終えると、おじさんは私たちの方を見て、

「今日でいいの?このあと?」

と、聞いてきた。

私は、バスの予定表を出して、自分が乗りたい時間16:30を指して

「ここ」といい、次にカンペール駅到着時間を指して、「カンペール」とだけ言った。

おじさんは、私が指し示した時間を自分の指で追う。

頑固そうな太い指が、印象的だ。ブルターニュの男、ここに、あり、だ。


いかにも慣れていないパソコンを、ブルターニュのムッシュは一本指で操作しながら画面を
にらめること、5分。ようやくおじさんは、時間を決定してくれた。

「ここを4時半にでて、カンペールには5時10分に着く。そして
5時半のこの電車に乗れば、9時半にはパリに着く。いい?」

「うぃ」

今度は私が一言だけ、答えた。頑固そうだが、親切なおじさんであった。
やっぱり、ブルターニュのムッシュは、私が想像するとおりであった。

そして、私は、16時37分発のチケットをおじさんに渡し、ほとんどお金をかけずに、
17時半発のTGVチケットをもらった。

さて、一安心。時間もあと2時間近くあるし。せっかくなので、
この街の観光でもしておくか。


私たちは、思いがけず、ドゥアルヌネの町探索にうきうきしながら出たので
あった。実は、このあともう一度、悲劇が訪れるのも知らずに・・。

(何も知らず
うきうき気分で続く)
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by manmarunesan | 2010-03-04 18:36 | 旅のおもひで

フランス珍道中⑬ バスが・・・来ない・・・・

幸せで暢気な時間は、ゆっくりと過ぎて行った。帰りのバスは
13時ちょうどだから、まだ2時間近く時間があるから、港街を散歩
して、もう一度スーパーを見学して、それから軽くランチでも食べて帰りましょ!

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 ドゥアルヌネの港町は、シーズンオフでひっそりとしてはいたが、
そこに住む人々の生活音があちこちで聞こえ、ブルターニュの一風景に
彩をそえていた。

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海辺で遊ぶ犬もかわいいし。

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パン屋さんでは焼きたてパンの香りがただよってくるし。

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 その港で一番大きな(と、言ってもこちらのコンビニくらいの大きさ
だけれども)スーパーに入る。

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 昨日は空腹すぎて、お惣菜コーナーしか目に入らなかった私であった
が、今日はバスの中で軽くサンドイッチを食べ、朝市で牡蠣を食べたので、
スーパーをゆっくり回る余裕がある。でも、やっぱり最初にお惣菜コーナーに
行っちゃったけど。

 一列目のワインの棚からゆっくり眺めていく。ちなみに、シェフは
すでにお肉コーナーにへばりつきだ。お肉屋さんがソーセージを
詰めているのが興味深いらしい。 ウサギの肉や、ウズラの肉、その他
様々な肉が並んでいるショーケースを舐めるように眺めている。

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 2列目のお茶とお菓子の棚で、友人たちのお土産を買う。キャラメル味の
紅茶は、お茶が好きな友達にあげよう。木苺の入った紅茶は、 お茶文化圏の
イラン人の友人にあげよう。色々なフレーバーが入った紅茶は、かわいいものが
好きな後輩がリラックスタイムに飲むだろう。

 3列目の乾物・缶詰・調味料のコーナーで、とうとう私の買い物欲の火が
ついた。マギーやクノールの乾燥スープの元が、色とりどりに並んでいる。
クレソン、ポワローねぎ、アスパラガス、トマト・・日本ではお目にかかる
ことはめったにないスープの素は、ペルシア語教室(を、プリムールで定期的に
開催しているのだ)の生徒さんたちにあげよう。OL生活で忙しい皆さんは、
きっと、朝寝ぼけながらお湯に溶かして飲んでくれるだろう。棚の一番下、
端っこに、チュニジア製の「アリサ」を発見。アリサは、唐辛子をペースト状に
した調味料である。多分、クスクスなどと一緒に出てくる煮込み料理のお皿の
ふちなどにちょっと乗せて、味のアクセントをつけるのであろう。フランス語
教室(も、プリムールで定期的に開催しているのだ)の友人たちに、ぜひ、
プレゼントしよう。焼酎の好きな、あの夫婦にも。ゲラントの塩は、いつも
ランチを食べに来てくださる常連さんの社長さんに。

 おお、自分へのお土産は、これだ。ココナッツの芽の缶詰。初めて
食べたのは、誰かの結婚式でだったかな?それとも前にフランスに来た
ときだったかな?不思議な触感が、よみがえってきた。(たった今、
思い出したが、あれは初海外旅行のシンガポールエアの機内食で出た
のだ!)

 お土産を買うのは楽しい。これは誰に、あれは彼に、あの人は
きっとこれなら喜ぶに違いないし、これをもらったら彼女はきっと
少し困ってでも喜ぶだろう、とか。一人ひとりの顔を思い浮かべながら、
こまごましたものを、ガツンと買い物をする喜び。これは、旅行の醍醐味の
一つである。(どんなに重いものでも文句も言わずに持ってくれるシェフも
いることだし!)

 スーパーで買い物したあとも、街をふらふら。フラフラするほどの
広さではないけれど、スポットスポットの風景が素敵なのだ。

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ランチは、地元で長年やっているような、味のあるレストランで。

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朝市で買った牡蠣と、スーパーで買ったワインがまだお腹に残っているので、
今回は、ビールと、メインのサーロインステーキで軽く(←もはや、私たちの
「満腹中枢」は完全に麻痺状態だぁ)済ませる。

12時50分には、朝方降りたバス停に到着。13時出発のバスには、
十分間に合いますね!




んが。




・・・んが、バスが来ない。朝、ここのバスに乗って来たときは、バスは
すでに出発の20分前には港に到着して、ここが終点だからそんままバス停
手前で待っていたのに。

おかしい。もう13時ですのにっ!


って、ちょっと、おい、待って!私は記憶の糸を手繰り寄せた。
そうだった、カンペールのバスの窓口のサッパリ美人が言ってたっけ。

「行きは、港まで行けば海が見れるわ。でも、帰りは、観光案内所前から出発よ。」

ガビビーン。なんと!13時発のバスは、終点のドゥアルヌネの港までは来ず、
ここよりも5キロくらい手前にある街の真ん中にある観光案内所で折り返し
運転であったのだぁぁぁ!

観光案内所・・あの、高台の、さらに先にあるんだよね・・。
車でも、20分近くは掛かったよね・・絶対、無理。間に合わない。

嗚呼~~~アタシの馬鹿馬鹿馬鹿~~~~~~~


 そう叫んでももう、ときすでに遅し。次のバスは2時20分。 カンペール到着は3時半。3時37分発のパリ行きの電車には、
間に合うか、どうか。
 ああ、こんなことなら、気を利かせて帰りのチケットなんて買って
おかなきゃよかったよ。(しかも、シェフの「帰りのチケットは、
帰りのときでいいんじゃない?」という忠告を無視して。)

 おや?しかし、このバス停留所の案内図によると、「ラ・ガール(駅)」って
いう名前が書いてあるじゃない?もしかして、国鉄の駅があるってこと?
だったら、せめて時間変更くらいはできる!目指せ、駅!しかも、
2時間に一本の市内バスが来たじゃない。チャンスッ。飛び乗れ~、シェフッ。

 そして、運転手さんが言うところの「ラ・ガール」(停留所いっこぶん)
で降ろしてもらった。

 ・・・・なにもないところですよ。市内の地図がありますが、駅らしき
ものなんぞ、書いてありません。そもそも、線路がないですよ?

んんん?何なに?ここの通りの名前、「ラ・ガール」なだけなワケ?

ラ・ガールとは、「駅」そのものを示しているんじゃなく、ただの『通りの
名前』なだけなわけ?

ちなみに、通りかかった老紳士に聞いてみました。ええ、必殺テキトー
フランス語で。

「ラ・ガールはどこですか?」

「ここじゃよ。」

がびびび~んっ。やっぱり・・。道路以外、何もない。道路の脇は畑と、反対
側に、港町が見下ろせるだけ。

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 「ラ・ガール通り」から、観光案内所まで、軽く1キロはある。ま、
糖尿病患者のシェフにはいい運動になったから、良しとしようか! (何事も前向き)

 仕方なく、私たちはさらに1キロくらい先のドゥアルヌネ市街にある
観光案内所にとぼとぼと歩いた。お土産が、どしりと(シェフの)肩に
重くのしかかる(ようだ)。
 
 ようやくたどり着いたドゥアルヌネの観光案内所は、当たり前だが、
昼休みで2時まで 開かないらしい。切符の時間変更ができるか、聞きたかったのに。

 でも、まあ14時20分 のバスをここで待つことにしよう。

停留所の近くでは、小さな広場があり、ちょっとした臨時遊園地になっていた。


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「オレ、あれに乗りたい」

シェフが指差す方を見ると、子供専用ゴーカート。もちろん、無視することで
却下を示す。


するとシェフは、屋台のほうに向かう。

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「オレ、ポップコーン食べてもいいかな?」

勿論、これも無視することで、却下と同時に、私が少しイライラしていることも
表現。


・・こんなひなびた街じゃ、旅行代理店もないだろうしなあ。ぎりぎり、
2時代のバスにのって、バリバリ走ってもらって時間差3分で乗り換え
るしか、手段はないか・・。


・・・しかし、またしてもバスは来ない。時刻表にはきちんと、14:20と書いて
あるのに。もう、2時半だよ。なぜ来ない?同じバスを待っているで
あろう若い娘さん二人組みも、心配そうに時刻表を眺めている。

 そして私たちはここで再び、おそろしい事実を知ることになるのだ。

(ヒヤヒヤしながらつづく)
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by manmarunesan | 2010-03-02 12:01 | 旅のおもひで



とあるビストロの幸せほおばり日記
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